インタビュー：ウォンビン「お互い寄り添うように助け合う愛もある」
能力以上のものを引き出してくれた
――映画『ブラザーフッド』『母なる証明』の守られる役から、本作で守る役に一転しました。脚本が魅力だということですが、どのような心境だったのですか？
ウォンビン：最初は『アジョシ』というタイトルに惹かれました、それから台本の1ページ目から最後まで楽しんで読むことができたんです。少女を守るためのアクションが盛りだくさんですし、アクションだけでなく（演じた）チャ・テシクの心の痛みとか、少女との温かな心の触れ合い、他人だったふたりが強い絆で結ばれるといった内面が抒情的にうまく表現されているところに魅力を感じて出演を決めました。――ウォンビンさんが新境地を開いた作品と位置付けられると思いますが、完成作をご覧になってご自身でも驚いたり発見できたりしたことがあれば教えてください。
ウォンビン：完成作を観ると、どうしても“ここは残念だったな”と思ってしまうことや反省することが多いんですよね。やはり俳優であれば、誰しもそうゆう気持ちになることが多いと思うのです。ですので、驚きや発見というよりも監督は自分がもっている能力以上のものを引き出して、チャ・テシクという人物をつくってくれたという感謝の気持ちです。――今、監督が能力以上のものを引き出すとおっしゃいましたが、具体的にはどのような？
ウォンビン：監督は感情表現の部分でいろいろな事を話してくださいました。チャ・テシクの過去がどういうものかといったことや、テシクだったらこういう時はこのように行動するだろうといったこと。その時の彼の気持ちや、ソミという少女との心の触れ合いを含めて事細かく具体的に話してくれたことが良かったんです。ですので、アクションのことよりも内面について考えることができましたし、自分がどうしようかなと悩んでいる時も随時監督と話し合うことで解決していきました。東南アジアの武術をミックスした格闘スタイル
――1人対17人のクライマックスのバトルシーンも含めて、アクションなのに見る側が深く感動させられる秘訣はそこにあったのですね。
ウォンビン：そうですね、監督もそうですし自分もそうでした。アクション部分もさることながら、感情表現の部分に集中して演じていました。バトルシーンはチャ・テシクになりきって演じていましたよ！ テシクのアクションは彼の言葉なのです。彼は多くを語りませんが、バリカンで髪を刈るシーンは彼の決意の表れですし、彼の感情は動作に如実に表れているのです。監督の指示通り、アクションの中にさまざまな感情を込めました。ただ、演技と並行してアクションをするのは正直大変な面もありました。――接近戦がありましたが、アクショントレーニングについて教えてください。
ウォンビン：相手をスピーディに一撃で倒す武術をみせる必要がありました。そのためフィリピンの「カリ」やインドネシアの「シラット」フィリピンの「アーニス」など東南アジアの武術をミックスして、「テシクの武術」という一つのスタイルを作り上げました。証言
イ・ジョンボム監督（以下、監督）：ウォンビンは、銃を構える姿勢ひとつにしても元特殊部隊要員に見えなければなりません。銃に関しては、9か月前から射撃訓練を受けていましたし、武術は数か月前から専門家について、現場でも練習を重ねていました。
――テシク役を演じるにあたり、何かアイデアを出したことはありますか？
ウォンビン：冒頭の質屋のシーンにおけるヘアスタイルや洋服です。リアルさを出すために、現場でスタイリストやヘアメイクの人と打ち合わせをしながら、監督に提案して作っていきました。証言2
監督：彼は寡黙だと思われていますけど、実際には親しくなれば、けっこう話をしますし冗談も言うんですよ。重要な感情を表現が求められるシーンの前には、親しさが出るように自分からセロンちゃんに話しかけて雰囲気作りを心掛けていました。そういった陰の努力を怠らない人です。監督という立場から彼を見ると、本当にいい意味で根性のある役者で、細かな点まで完璧を目指すタイプ。ルックスから線の細い男性に思われがちですが、いい意味の欲をたくさん持った人です。
映画『アジョシ』
ウォンビンが挑む本格アクション大作『アジョシ』（9月17日公開）。MOVIE ENTER!の作品紹介ページでは、作品のあらすじのほか、ウォンビンの直筆サイン入りプレスシートをプレゼントしています（9月29日締切）。ぜひ、チェックしてください！http://movie-enter.com/movie/detail/156085
